記憶をこえるもの

博士の愛した数式 (新潮文庫)

博士の愛した数式 (新潮文庫)

もう全体的に優しい。温かい。それに尽きる。博士とルートと私のそれぞれが、本当に優しくて素敵。最後の方、博士が施設に入ると決まってから、それから…このあたりは何だかもう切なさとか温かさとかいろんなものが混ざって、泣きそうになった。私と博士の関係が、すごく良い。ルートの存在も大事ですごく良い。数学については苦手だし数式も何のこっちゃって感じだったけど、それでもさくさく読めました。物語は淡々と、静かに、穏やかに、時に切なく、進んでいく。その世界観も素敵でした。数学ってそんなに美しいものだったのかと思う。ただの数字の羅列が、急に意味を持って、そこにいろいろな思いや物語が混ざる。確かに、数字って不思議だなあ。映画も見てみたい。本当に優しくて切ないお話でした。