純愛小説

モンスター (幻冬舎文庫)

モンスター (幻冬舎文庫)

百田さんはじめまして。なかなかの厚さで読みごたえある感じだったけど、面白くてさくさく読めた。これはなんといったらいいか、読み終えたとき、ため息が出た。なんか、うん、すごいなあと。この主人公、醜い女である未帆の、信念と壮大な思い。このお話はあれだよね、恋愛小説なんだよね。だってここまで一人の男の人を想って想って想い続けて生きるのって、すごいと思う。できないよ、ふつう。結末は、未帆にとっても、和子にとっても、これで良かったのかなあと思った。でも、同じ女性として、和子の人生はなんだか悲しくて、切なくて。読んでてちょっと、胸が痛くなった。横山クリニックでの横山先生と和子の整形に関する会話が、なんだか美容整形の講義のようで、読んでてふむふむと思った。なんか、これは読んでると整形がしたくなるな(笑)美しさのために、そこまでするか?って思うかもしれないけど、わたしは、和子の今までを考えれば、ここまで執念深くなるのは当然だよなあとも思う。ただ周りの普通の女の子のようになりたかっただけなんだよね。普通に恋愛して、普通に幸せになる。それができないなら、自分で作るしかない。和子は努力して、我慢して、ここまできたわけだから、わたしはすごいなあと思うよ。一人の女の子が一人の男の子に恋をした、純粋な恋愛小説なんだなあと。最後の最後も、わたしとしてはさくっと終わった感じ。英介は和子をほうって逃げたのかもしれない。でもわたしは、気持ち良さそうに、笑ってるように死んだ和子を見たら、そのままにしてあげたほうが良かったんじゃないかなあと思う。英介が最後の最後に、何を思ったのかは分からないけど。