記録するということ

悪意 (講談社文庫)

悪意 (講談社文庫)

面白くていっきに読んだ加賀シリーズ4作目。本当にもう、東野さんにやられた…。先入観って怖いなあ。最初に野々口の手記を読んでいるから、物語の本質がもう先入観と思い込みのかたまり。そのあとに加賀さんがいろいろ問題提起、解明、解説してくれているけど、え?そうだったの?って思うことばかり。最後まで読んで初めて、この事件とはそういうことだったのか、と。底の部分にはそんな黒いものがあったのか、と。この悪意は、本当に、静かに深く怖い。このお話は、犯人を突き止めていくんじゃなくて、なぜ殺したのか、なぜ殺さなければならなかったのかっていう、動機を突き止めていくお話なんだよね。そこにもう、やられた…。すごいなあ、東野さん。こんなの思いつかないし、発想に脱帽。野々口にもやられた感があるし、東野さんにもやられた。本当にすごい。面白かった。