出会えて良かった

三面記事小説 (文春文庫)

三面記事小説 (文春文庫)

これ!これ!これ!わたしが出会いたかったのは、こういう小説!偶然見かけたブログで、この本のレビューを見て、おっ!と思って即買い。まさにね。これなんだよ。わたしが常日頃思うこと。思ってたこと。考えてたこと。テレビや新聞から毎日いろんな事件やニュースが飛び込んでくる。特にその中でも殺人事件や未遂等は大きく取り上げられる。親が子供を殺したり、子供が親を殺したり、兄弟だったり、恋人だったり、同級生・友達だったり。そういうのをね、見るたびによく考えてた。こんな事件が起こるまでには、彼ら・彼女らに、何があったのかなあって。事件だけ見れば、もちろん、事件を起こした人は悪い人。その被害者は可哀想な人。それで終わる。でもさ、もしそこに、第三者が聞いたら同情してしまうような、それじゃそうなっても仕方ないねって思うようなことがあったら。もしくは、同情できないにしても、結果的にそうなってしまった、きっかけや動機、当事者の気持ち、その他もろもろ…そういうのをさ、よく考えてた。この事件の背景には何があったんだろうって。だから、この小説に出会ったとき、これだ!って思ったわけ。そうそう、わたしもこういうこと考えてた!って。
このお話に出てくる事件は、わたしはあまり覚えていないけど、よくありがちというか、昨日今日テレビで見たような事件ばかりだった。それが角田さんなりに調理されて、味付けされて、なんとも言えない、悲しい、切ないお話になっていました。
加害者の肩を持つわけでもないし、擁護するわけでもないけど、でも、ただ、そうなるに至ってしまった加害者の気持ちに、寄り添ってあげても良いんじゃないかなあ、と思う。ただ悪い、ではなく。もちろん裁かれるべきところで裁かれて、自分のしたことに責任を持つのは当たり前。だけど。ちょっとその気持ちに寄り添ったら、たぶん、きっと、自分の身にも降りかかるようなことって思うかもしれない。