黒いオーロラ

リピート (文春文庫)

久々の乾さん。もし現在の記憶を持ったまま10ヶ月前の自分に戻れるとしたら。これ誰もが一度は考えたことあるようなことだと思う。わたしも然り。今の自分のまま高校時代に戻りたいなあ、そしたらあんな失敗しないのに、とかそういうことは何度も考えたことがあります。まさにそれが現実となる、そんなお話だけにどんどん読めました。なかなかの分量でしたが。それにしても、やっぱり人間ってどんなに謙虚な人でも、目の前に好条件な事柄が出てくると、どんどん貪欲になって、しまいにはその欲に飲まれて、人間としての心もなくなっていくのかなあ。ラストは衝撃というかなんというか、そんな気はしてたけど、なんともきつい、ブラックなラストでした。毎回いろんな衝撃を与えてくれる乾作品はすごい。