夜の王子

うつくしい子ども (徳間文庫)

うつくしい子ども (徳間文庫)

9歳の女の子を殺した犯人が自分の弟。解説にもあったけど、このお話はこういう事件の加害者の側に立ってストーリーが展開していく、とても考えさせられるお話です。何よりこの主人公は強い。何度も泣きそうになりました。なぜ弟はこんな事件を起こしてしまったんだろうって、殺された女の子のために、弟のために、家族のために、この事件を一から調べてみようとする主人公の姿が本当に強いし切ない。「それが最悪のおこないでも、誰かがわかってやる必要があるのではないか。そうでなければ、犯罪をおかした人は一生ひとりぼっちになってしまう。最低の人間だって、誰かがそばに寄り添ってあげてもいいはずだ。それがぼくの弟ならなおさらじゃないか。」この文章が本当に印象深い。わたしが普段こういう事件が世の中で起きていることを知って思うことと、近いものがここにあった。事件の裏側にあった本当の理由と、それから主人公の成長が切ないし感動する。読んで良かったです。