背負うもの

十字架 (100周年書き下ろし)

十字架 (100周年書き下ろし)

またもや久々になってしまった重松さん。図書館で、まだ読んだことのない重松作品を探して、このお話に出会いました。ひとことで言って、つらいです。きついです。いじめがテーマで、しかもそこに出てくる人が自殺をしていて。それはもう、つらいです。それでも、重松さんのお話だから、読める。重松さんだったら、何かしら、道に光を灯してくれると信じられるから、読むことができる。つらいけど、そのつらさを、わたしには何の義務もないですが、読まなくちゃ、と思う。勝手に「親友」と書かれた僕と、勝手に片思いされていたサユちゃん、二人の気持ちとか、どうすることもできない想いとか、なんかわかる。途中でね、フジシュンや、その家族みんなに、もうゆるしてあげて、もう解放してあげて、もういいじゃん、って思ってしまった。でも、フジシュンの家族の気持ちも、なんかすごくわかる。これはあくまでもお話のなかの出来事なのかもしれない。実際は、全然違うものなのかもしれない。だけど、いじめというのは実際に今もあって、それを苦に自殺する人たちもいるわけで、だから、なんて言ったら良いか分からないけど、わたしは…目を背けたくない、と言ったら田原さんに怒られるだろうか。嘘つくなよと言われるかもしれない。ただ、わたしは、うまく言葉にできないけど、こういうお話を、きちんと、読み続けたいと思う。